甲状腺のしこり
甲状腺のしこり

首に「しこり」が見つかると、「もしかして、がん(悪性腫瘍)ではないか?」と強い不安に襲われることと思います。
まず、一番大切なことを最初にお伝えします。甲状腺にできるしこりの約90%は「良性」であり、命に関わることは稀ですが、適切な診断と経過観察が重要です。
しかし、残りの数%には治療が必要な「悪性(甲状腺がん)」が含まれていることも事実です。重要なのは、「良性か悪性か」を自己判断せず、専門的な検査で白黒はっきりさせることです。
甲状腺は、のどぼとけのすぐ下にある「蝶々」のような形をした臓器です。ここにできるコブのようなものを総称して「甲状腺腫瘍(こうじょうせんしゅよう)」と呼びます。
この病気は非常にありふれており、超音波(エコー)検査などで詳しく調べると、成人の10〜20%、女性に限ればさらに高い割合で見つかると言われています。「しこりがある=珍しい病気」ではありませんので、まずは落ち着いて読み進めてください。
しこりには、大きく分けて「良性」と「悪性」の2つのタイプがあります。
基本的に転移したり命を脅かしたりすることはありません。
いわゆる「がん」ですが、他のがんに比べて進行がゆっくりで、治りやすい(予後が良い)タイプが多いのが特徴です。
ここが重要なポイントですが、甲状腺のしこりは、良性であっても悪性であっても、ほとんどの場合「痛み」がありません。
「痛くないから大丈夫だろう」と放置するのが一番危険です。逆に、以下のような症状がある場合は、しこりが周囲の臓器(気管や神経)に影響を及ぼしている可能性があるため、早めの受診が必要です。
注意すべきサイン
注意:甲状腺がんは進行が非常に緩やかであるため、これらの症状がなくても、健康診断での指摘があれば放置しないでください。
「しこりが良性か悪性か」を判断するために、当院では以下のステップで検査を行います。
痛みも被曝もなく、妊婦さんでも受けられます。 プローブ(探触子)を首に当てるだけで、数ミリ単位の小さなしこりまで発見でき、形や血流のパターンから良性・悪性の可能性を高い精度で推測できます。
エコー検査で「悪性の疑いがある」と判断された場合に行う精密検査です。しこりに直接、採血用の細い針を刺して細胞を吸い出し、顕微鏡で顔つき(良性か悪性か)を判定します。
良性と診断されれば、原則として手術や薬による治療は不要です。ただし、しこりの大きさが変化しないかを確認するため、半年〜1年に1回程度のエコー検査(定期検診)を推奨しています。
※しこりが非常に大きく(4cm以上など)、首の圧迫感が強い場合や美容的に気になる場合は、良性であっても手術やエタノール注入療法(PEIT)を行うことがあります。
甲状腺がんは、抗がん剤や放射線治療が効きにくいため、「手術で取り除く」ことが第一選択となります。がんの大きさや広がりによって、甲状腺を半分切除するか、全部摘出するかを決定します。
近年、1cm以下の微小な乳頭がんに関しては、すぐに手術をせず、厳重に経過観察をする(大きくなったら手術する)という方針も世界的に認められつつあります。ご高齢の方や手術のリスクが高い方には適した選択肢です。
甲状腺のしこりは、触っただけでは良性か悪性か分かりません。「もしかしたら…」と悩みながら毎日鏡を見るよりも、一度専門医を受診して、エコー検査を受けることを強くおすすめします。
エコー検査を受ければ、「これは水が溜まっているだけの『のう胞』ですね。心配ありません」「良性の顔つきですが、念のため半年後にもう一度見せてください」といった具体的な診断がその場で得られ、心の重荷がすっと軽くなるはずです。
当院では、甲状腺診療に特化した経験豊富な医師が、最新の超音波機器を用いて精度の高い診断を行っています。
このような方は、ぜひお気軽に当院へお越しください。痛みの少ない検査と、丁寧な説明で、あなたの不安を解消し、最適な治療方針をご提案いたします。
また以前、他院や検診で『しこりがある』と言われたままになっている方も、ぜひ一度エコー検査を受けにいらしてください。数年の変化を確認することが、最も確実な診断に繋がります(過去の検査結果がある方はぜひお持ちください)。